東京都中野区、私立新渡戸文化学園の中に「VIVISTOP NITOBE」というクリエイティブな学びの場があるのをご存知でしょうか。多様な画材やデジタルファブリケーション機材が揃っていて、平日は図工や美術の授業や課外活動の場として使われていますが、土曜午後は一般開放されていて、会員登録をすれば当校の生徒でなくても自由に創作活動ができるのです。
HatchEduではVIVISTOP NITOBEチーフクルーの山内佑輔さんとともに、2023年6月24日、この場所の魅力を体験する特別ワークショップを開催しました。その様子をレポートします。
VIVISTOPは国内外11箇所にあり、VIVITA株式会社が子どものためのクリエイティブラーニングスペースとして運営しています。でも、学校の図工室を兼ねているのはVIVISTOP NITOBEだけ。山内さんは大学職員や公立小学校の図工専科教員を経験した後、2020年に新渡戸文化学園の教員になり、VIVITAと共にVIVISTOP NITOBEを立ち上げました。
「この場にいい形で関わってくれる人たちと出会いたいんです」と山内さんから相談を受け、HatchEduコミュニティに参加されている有志がワークショップの体験に参加。通常は9歳以上を対象とした施設ですが、今回は特別に対象年齢以下の子どもも一緒に参加できることに。
この日のワークショップは「Drawing Party」。「決まっているのは絵を描くことだけ。何を描くか、どう描くかは自分次第」……そんな説明を受けて、「さてどうしよう？」と思案顔の大人たちを横目に、目についた画材を手に取りすぐに描きはじめる子どもたち。一人が新しい画材を発見すると別の子も使い始めたり、大人が足の裏に絵の具を塗って床に足跡をつけたのを見て子どもが真似したり。それぞれが自由に創作を楽しみつつ、お互いの行動や表現に触発されて新たな作品が生まれていきます。
山内さんはというと、画用紙に大胆に絵の具を置いて手のひらで混ぜ、子どもと「うわ〜いい色！」と歓声を上げながら共作を楽しんでいました。これが本当にいい感じで、「こういう抽象水彩画って狙って描くとうまくいかないんですよね」と漏らすと、「そういう絵は子どもと一緒に描くといいんですよ」とのこと。なるほど！
約2時間Drawing Partyを楽しんだ後は、参加者のみなさんと感想を共有しました。
「ワクワクの種がたくさんあって、みんな自由に創作していて、子ども大人もクリエイティビティが解放される場所だった」「初めて会う人とも、ずっと知っている人ともいつもと違う会話をすることができた」などという声が。
そして、VIVISTOP NITOBEをより楽しい場にするためのブレインストーミングを行いました。
VIVISTOP NITOBEには普段から決まったプログラムはありません。VIVITA社員がイベント準備をする様子を子どもたちが眺めたり、子どもの作品に大人が興味を持ってワークショップが始まったり、作品を販売するオンラインショップが誕生したり。放課後も地域開放日も、そのとき集まった人によってさまざまな化学反応が起きるそう。
「以前は“子どものやりたいことを大人がサポートして形にする場”でしたが、いまはそれをやめて、“共にアイデアを形にする場”としています。子どものアイデアがおもしろければ手伝うし、心が動かなければ無理はしない。大人が本気で楽しんでいる姿や、ほどよいカオスさが子どもの創造性を刺激すると思うんです」と山内さん。
そのため、いま山内さんがVIVISTOP NITOBEのクルー（※定期的にこの場に来るスタッフ）になってほしいと思っているのは、“子どもをサポートする大人”ではなく、“自らこの場を楽しんでしまう大人”。ただ、VIVISTOPは“大人のための無料ものづくり工房”ではありません。子どもを中心に置きつつ、自ら楽しみ、それが子どもにいい影響を与える。そんなちょうどいい塩梅の関わり方をしてくれる人を求めているとのこと。
もし、この記事を読んで「それって自分のことかも！」と思った方がいたら、一度VIVISTOP NITOBEを訪れてみてはいかがでしょう。お互いにとっていい出会いになるかもしれません。
HatchEduは今後も、こうした最先端の学びの場に関する情報発信やイベント告知を行っていきます。教育に関心のある方は、ぜひニュースレターにご登録いただけると幸いです。
■VIVISTOP NITOBE
東京都中野区本町6-38-1
対象年齢：9歳以上
入会金・年会費：無料
※活動に参加するには、オリエンテーションに参加しメンバー登録手続きをする必要があります。
https://www.nitobebunka.ac.jp/vivistop/openday/
☆VIVISTOP NITOBEのクルー活動にご関心のある方はメールアドレス（vivistop@nitobebunka.ac.jp）宛にお問い合わせください。
編集・構成：飛田恵美子
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